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福祉楽団の目指すもの

ミッションについて

ケアを考え “くらし”を良くし 福祉を変えるケアを考え “くらし”を良くし 福祉を変える

福祉やケアの実践には当事者の最善を考える思考過程が求められます。ケアとは、単純に食事やお風呂の世話をすることにとどまらず、常にそれらを「生命力の消耗を最小にする」ように思考を続けなければなりません。この思考の基礎には人体の構造や生理学の知識が必要となります。こうした「考える」ことは、日々の暮らしを良くする実践へとつながります。昨日よりも今日、今日よりも明日の暮らしを少しでも良くするための実践です。肌ざわりのよいタオルで顔をぬぐえたり、お茶の種類が選べるようになったり、お気に入りのシャンプーになったり。それはわずかな変化かもしれませんが、そうしたひとつひとつの積み重ねが暮らしを「良くする」ということです。こうした思考過程と日々のケア実践を、発信し、共有し、科学的な分析などを通して「福祉を変える」アクションへとつなげていきます。現場から福祉を変える。福祉を変えていく実践を大切にします。

法人名称とロゴについて

福祉楽団という名前は、法人設立から4年が経った2005年に、未来に向かって創造的な福祉実践をしていく決意を表現するために、職員に案を募って決定しました。楽団というのは、オーケストラをイメージしています。オーケストラには、いろんな楽器の奏者がいますが、それぞれが役割を担いながらひとつの作品をつくっていきます。組織や社会にもいろんな人がいる、多様性があるという前提に立って、ひとつの作品をつくっていく、ミッションの実現に向けて行動していく姿勢を表現しています。子どもも、障害のある人も、高齢者も、地域の人も、職員も、みんなが個人として尊重され、自然とともに、わいわいと楽しみながら共生していく。コンヴィヴィアル(Convivial)な社会を創造していく理念を表現したのが福祉楽団です。

行動規範

1. つねに、当事者を中心に考え、行動しよう。

知らず知らずのうちに、職員や自分たちの都合を中心に仕事やサービスを組み立てていることがあります。
つねに、「当事者の立場から見たらどうなのか」「本当に当事者のためになっているのか」ということを考え、
行動していくことが大切です。

2. 現象にとらわれず、本質を追究しよう。

ただなんとなく過ごしていると、手段と目的を取り違えてしまうことがあります。
「こうやる」ではなく、「なぜ、こうしなければならないか。」という意味を考えることが大切です。

3. 本音で語りあおう。

いいことしかいわなかったり、人を選んでものを言っていたりしたのでは、組織は腐敗します。
常にオープンなコミュニケーションを心がけ、活発に議論しよう。
組織の陰で、不平やネガティブなことを言うことは厳禁です。

4. 他者に敬意をはらい、誠実に行動しよう。

当事者や取引先、部下、同僚、上司など、それぞれ人格と個性をもっています。
自分の存在を認めてもらうためにも、相手のことを考え、正直に行動しよう。

5. より高きを目指し、大胆に挑戦しよう。

自分ではまったく意識していなくても、常識にとらわれて思考が限られていることがあります。
現状に満足したとき、それは衰退を意味します。
さらなる向上を目指し、大胆に挑戦していくことが大切です。

当事者への思い

私たちは常に当事者の最善の利益を追求します。支援者や事業者の都合ではなく、当事者にとっての最善を考え実践につなげます。公的な機関に要請されるような「中立性」や「公平性」ではなく、徹底的に当事者の立場から、当事者の最善を代弁します。
表面的な要望やニーズではなく、「何がその人の最善なのか」を考え、実践につなげます。潜在的なニーズを掘り起こし、声なき声に耳を傾けます。

ケアの考え方

ケア(介護・看護)とは、生活を整える実践です。今日、ケアの専門資格には介護福祉士と看護師の2つがありますが共通している原理は「Nursing」です。ナーシングについては、F・ナイチンゲールの「看護覚え書」に遡ります。ナーシングというと、白衣を着て病院で働いているような看護師をイメージされるかも知れませんが、「看護覚え書」で明らかにしている「看護」は今日の介護も含むケアの哲学です。ケアの実践場面では、介護福祉士も看護師も「生活を整える」という共通の目的に向かって協働していくことが重要です。さらに、「生命力の消耗を最小にするように」生活を整えていくことが重要です。お風呂も水分を飲むのも体位を変えるのも着替えも、すべての生活動作を、「生命力の消耗を最小にするように」整えなければなりません。水分を飲むというケアをするならば、水がどのように人体に吸収されるのかがわかっていないと最善のケアはできません。同様にお風呂も、どこに体温のセンサー(受容器)があり、循環器の構造や機能がわかっていることが必要です。
介護分野では「自立支援」という言葉が多く聞かれますが、「自立支援≒生命力の消耗を最小にする」という意味です。いまこの人をお風呂に入れるべきかどうか、シャワーだけか、足浴だけかなどの判断は、その人の生命状態や持てる力などを観察し、最も「生命力の消耗を最小にする」ような介護を実践しなければなりません。こうした思考過程で実践される介護は、必然的に自立支援につながります。
ケア(介護・看護)とは、家事代行ではありません。「お世話」というような表層的なものでもありません。人体の構造と機能を基礎に展開される科学的実践です。

介護分野では「自立支援」という言葉が多く聞かれますが、「自立支援≒生命力の消耗を最小にする」という意味です。いまこの人をお風呂に入れるべきかどうか、シャワーだけか、足浴だけかなどの判断は、その人の生命状態や持てる力などを観察し、最も「生命力の消耗を最小にする」ような介護を実践しなければなりません。こうした思考過程で実践される介護は、必然的に自立支援につながります。
ケア(介護・看護)とは、家事代行ではありません。「お世話」というような表層的なものでもありません。人体の構造と機能を基礎に展開される科学的実践です。

ケアのものさし

ケア(介護・看護)は生活にあまりにも密着しているため「ただなんとなく」世話をしているだけでも、それがケアになっているという錯覚を持ちやすいという側面があります。ケアのものさし(基準)をもたない限り、結果が良いケアであったか否かの評価も不可能ですし、よりよい実践にもつながりません。ケアの共通の目的や基準を持って、議論することを大切にしています。親切や思いやり、熱心や誠実といった情緒的な表現や判断は、ケア実践を誤りに導くことも多いので、福祉楽団ではなるべくそうした表現は使わないようにしています。

ケアのものさし

  • 1. 生命の維持過程・回復過程を促進する援助
  • 2. 生命体に害となる条件・状況を作らない援助
  • 3. 生命力の消耗を最小にする援助
  • 4. 生命力の幅を広げる援助
  • 5. もてる力・健康な力を活用し、高める援助

持てる力・健康な力を活用し高める援助

私たちは、当事者の持てる力、健康な力に注目し、それを活用するようにケアを展開します。認知症があり「徘徊」をしているようなお年寄りがいたときに、それを問題行動と捉えるのではなく、「歩くことができる」、「足腰の力がある」ということにまずは注目します。その持てる力を活用して、外出や散歩につなげられないかと発想します。「問題行動」と言われるようなことにも何らかの意味やメッセージがあります。その人の「思い」に耳を傾け、そうした行動からその人の持てる力は何かを観察し判断していきます。できないことや、問題、課題は見えやすく、そこにどうしても目が行きがちですが、だからこそ、持てる力、健康な力に注目し、それを活用し高める援助を意識するようにしています。

ICTやテクノロジーの活用

イメージ:ICTやテクノロジーの活用

私たちは、ICTの活用で介護の現場が良くなることを期待しています。ICTはツールの1つです。人が行うことを前提に、いまある技術の組み合わせと少しの工夫で、ケア現場の人々の行動や役割を効率よくすることができます。福祉楽団では、職員が1人1台スマホをもち、『ケアコラボ』で介護記録を行っています。記録はクラウド上でご家族にも公開し、ご利用者やご家族、職員との関わり方にも新たな変化をもたらしています。

イメージ:ICTやテクノロジーの活用

社会的責任

1. 社会福祉法人としての責任

  • ・私たちは、社会福祉法人の非営利性や公益性、社会的役割を常に認識し、
    行政やNPO、企業など と協力して新しい地域社会づくりをすすめます。
  • ・制度の中の福祉ではなく、創意工夫をもって、
    その人や地域にあわせた独自の実践を展開します。

2. 透明性の高い経営を目指します。

  • ・財務、会計の信頼性を確保するため、適正な会計処理を行います。
  • ・当事者や寄付者、取引先などへ明確な経営方針を示すほか、財務会計、施設運営などの情報についても積極的に公開します。
  • ・もし社会的指弾を受けるような事態が生じた場合は、それについての法人としての考えを可能な限り早く、
    対外的、対内的に明示します。
  • ・業務執行と監視の体制を明確にし、業務の適正を確保する体制の構築をすすめます。

3. 勇気をもって、誠実に行動します。

  • ・監督官庁から許認可などを受けたり、届け出をする必要がある場合には、決められた行政手続に基づいて行ないます。
  • ・法令を守り、その土地の文化を尊重します。
  • ・法律や制度、地域の習慣、 当事者や行政からの指摘や求めであっても、 正義に反していたり、人権を侵害しているときは、
    おもねることなく 法人としての意見を主張し、改善を訴えます。
  • ・当事者や取引先、公務員 などと、公正さを疑われるよう な金銭のやりとりや贈り物をしたり、受けたりはしません。
    また、癒着ととられるような接待はしません。
  • ・利益と倫理の二者択一を迫られた場合、いかに経済環境が厳しくとも自然と、 倫理を選択できるような企業風土を維持します。
  • ・反社会的な勢力からの要求には、職員を孤立させることなく、法人の問題として取り組みます。

社会福祉法人は、非営利かつ公益性の高い法人です。私たちは、社会福祉法人としての使命を認識し、福祉実践をしていきます。法律や制度にないことでも、目の前に生きづらさを抱え、困難に直面している人がいるときにはそれに対して何ができるか、福祉実践につなげられるかを考えて行動します。時には採算のとれない事業でもそれを実施していく責任があります。目の前の課題解決とともに、困難を抱えた当事者の人生に寄り添う、長期の視座に立った支援をしていきます。

情報公開を積極的にすすめます。決算書や事業計画などの情報のほか、介護現場での事故やトラブルなどの情報も公開しています。そうすることで、よりよい経営や、福祉実践につながると考えています。福祉楽団では毎年、アニュアルレポートを作成し、わかりやすい情報公開に努めています。

経営において法令遵守は必須ですが、「法令遵守」に拘るあまりに、本来の目的や小手先の対応にならないようにしています。歴史的には、法令自体が福祉に反していたり、法令が福祉を制約しているということも多くあります。行政とも対等に議論していきます。私たちは常に「正しさとは何か。」「正義とは何か。」「悪とは何か。」を意識し、考えることを大切にしています。嘘をつかず、公正に、説明できる経営を目指しています。

サステナビリティ

環境への配慮

人間の生活は、太陽や風、空気など自然の影響を大きく受けています。自然や環境への配慮は、私たちのケアの理念にも通じるところがあります。2050年までに自然エネルギーの調達方針を定める「再エネ100宣言 RE Action」に加盟し、自然エネルギーへの転換をすすめていくことを宣言しています。その他、ペーパーレス化の推進、燃費効率がよい空調機や車両への切り替えなどをすすめています。

地域経済

福祉楽団では物品調達にあたり、地場のものを使うことを大切にしています。地域で経済が循環していくように、地域ならでは食材や、地域社会に貢献している企業との取引を優先して行うようにしています。顔の見える関係を現代的につくり、地域が持続可能になるような経済循環をつくることを目指しています。

地域社会

福祉楽団の各拠点ではそれぞれの地域とのつながりを大切にしています。地域活動にも積極的に参加しています。私たちが地域に関与していくことで、旧来の排他的なコミュニティであることを変えていく必要も出てくるかも知れません。コミュニティに変容を促すような行動をとっていくこともまた持続可能な地域社会づくりに必要な視点であると考えています。

職員の成長

イメージ:職員の成長イメージ:職員の成長

育成

福祉は人。ケアの質の向上には、職員の育成は欠かせません。福祉楽団では仕事の実践に必要な具体的なスキル(知識や技術)の研修のほかに、コンピテンシー(行動や思考の特性)の研修を充実させています。例えば、入職年次や役職による「階層別研修」や次世代を担う職員の「選抜型研修」、さまざまなミッションに挑戦する「海外研修」などユニークなプログラムも多く実施しています。職員ひとりひとりの能力を引き出し、広く社会で活躍できる人材を育成します。

キャリアラダー

よりよい福祉実践には、職員が安心して働ける環境が必要です。福祉楽団ではライフスタイルやライフステージに合わせて、異動の有無や労働時間の長短など12区分から働き方を選ぶことができます。また、雇用の安定化を図るために全職員を無期雇用の「正職員」としています。キャリアコースは「マネージャー」「マイスター」「アンカー」等から選択することができ、多様なキャリア志向に応えます。組織は多様な個の集まりという前提に立ち、時代に合わせた人事制度を創造します。

制度

仕事と生活と遊びをバランスよく楽しめるように、福祉楽団にはさまざまな制度があります。「リフレッシュ休暇制度」は年1回、12日連休以上が取得できる制度です。入職4年目からは別途5日以上の連休が取得できます。働きながら資格の取得をめざす人をサポートする「職員能力開発支援金制度」や、高度な研修機会を保障するための「大学院等派遣研修制度」もあります。職員の自己実現のための制度や、環境の変化に対応するための制度など、職員が働きやすい環境を目指しています。

職員の健康と安全への取り組み

イメージ:職員の健康と安全への取り組みイメージ:職員の健康と安全への取り組み

予防接種

ケアの現場では、病気や老化による体の変化だけでなく、「感染症」によって身体の不調を職員・利用者が生じる場合があります。福祉楽団では「感染症をうつさない、うつされない、予防接種で防ぐことができる疾病には免疫を持つ必要がある」という考えのもと、予防可能な6つの疾病(B型肝炎、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎、インフルエンザ)のワクチン接種の一部または全部を法人負担で受けることが可能です。また、B型肝炎、C型肝炎、HIV検査については職員負担0円にて、自己の抗体を確認することができます。さらに、日々のケアにおいての感染症における基礎知識や対応を学ぶ機会を設けています。

腰部保護ベルト(腰痛ベルト)

特定の仕事が原因で起こる病気や負傷などのうち、腰痛は6割以上を占めると言われています。(厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」より)福祉楽団では「予防は治療に勝る」の考え方のもと、腰痛予防のOff-JTを開催するほか、希望する職員には腰部保護ベルト(腰痛ベルト)を職員負担0円で給付しています。そのほか、労働中のケガを軽減するための設備や用具は、積極的に取り入れていきたいと考えています。

労災の上乗せ保険

福祉楽団で働くすべての職員は、労働者災害補償保険(労災保険)に加入しています。労働中にケガをしたり、労働が原因で病気になったりした場合は、災害の大小にかかわらず速やかに労働基準監督署に届出を行います。ですが、その認定は労働基準監督署で行い、同じような事例でも労災が適用にならない場合もあります。こうした不安を少しでも軽減するために、福祉楽団では労災の上乗せ保険として「業務災害補償保険」に加入しています。保険料はすべて法人が負担します。保険は万が一のときのものなので、健康管理やケガをしないような作業管理が第一と考えています。危険な箇所や必要な用具は整備し改善していく方針です。

多様性を尊重した組織づくり

イメージ:多様性を尊重した組織づくりイメージ:多様性を尊重した組織づくり

・人種、民族、国籍、宗教、信条、性別、社会的身分、障害、結婚歴、病気、性的指向、年齢などによる個人の特徴をお互いに認め合い、それらの違いを尊重しながら働くことができるよう、その基盤を整えます。
・マイノリティであることを理由にした差別や嫌がらせは、絶対に許しません。
・すべての管理職は「LGBTQ」など性的マイノリティについて理解を促す研修を受講しています。
・ヒジャブの着用を認め、お祈りの時間を確保できるようにするなど、宗教上の配慮を必要とする職員が安心して働ける環境を整えます。また日本人職員が外国の文化や習慣を学ぶ機会を積極的につくっています。
・子どもをもつ職員でも安心して働くことができるよう主要な拠点では保育所を備えているほか、子どもを連れての勤務を認めるなど体制を整えます。
・すべての拠点、事業所ごとに障害者の法定雇用率以上の障害者雇用を行います。